「この30年の間、為替相場に大きな影響を与えた事件を振り返ると、まず1980年代のプラザ合意(1985年)、ブラックマンデー(1987年)。1990年代に入っても、イラクのクェート侵攻(1990年)、湾岸戦争勃発(1990年)、ゴルバチョフ氏誘拐(1991年)、BOE(イングランド銀行)とジョージ・ソロスの対決(1992年)、アジア通貨危機(1997年)、LTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)の破綻(1998年)など、大きな事件は頻発しています。
2000年代は、9.11米同時多発テロ(2001年)、イラク戦争勃発(2003年)、フセイン大統領拘束(2003年)と続き、その後も、欧州憲法批准に関してフランスが国民投票で拒否(2005年)、リーマン・ショック(2008年)、東日本大震災(2011年)、スイス・ショック(2015年)などが印象に残っています」(水上氏。以下、「」内同)
特に直近の例では、昨年のスイス・ショックにおいて、瞬間的に為替レートが大きく変動した。スイス国立銀行はフラン高を抑えるため、ユーロ買い、スイスフラン売りの介入を無制限に行っていたが、2015年1月に急遽、市場への介入を辞めたことにより、スイスフランが高騰したのだ。
「この時は、ほんの数秒で円に対してスイスフランが約50円も高くなった(1スイスフラン=114円が、160円まで高騰)ので、関係者の間でもレートが消えた(銀行間でも取引ができなくなる事態)と混乱していました」
それでは、今回の英国国民投票のケースで為替相場にはどれほどの影響があるのだろうか。水上氏は「瞬間的に為替レートが変動する可能性は否定できない」という。
「英国のEU離脱が決定すれば、1ポンド=120円台まで円高に進む可能性もあるでしょう。発表の翌日、約20円の円高になったプラザ合意と変動幅は近いかもしれません」