市内には、警察やシンガポール労働省の職員が、注意喚起のため巡回。レストランや公園なども閉鎖となり、普段なら大賑わいのはずのショッピングセンターはもぬけの殻と化している。
Aさんによれば、日本同様、マスクやトイレットペーパー、アルコール消毒液などの在庫不足もあったもの、買い占めなどの大きな騒動はなかった。また、スーパーやコンビニではマスク着用なしでの来店を拒否出来るため、隔離政策はうまくいっていると感じるという。
日本の様子を伝える報道を日夜見聞しているが、シンガポールと比べ、違いが際立つのはIT対応ではないか、と指摘する。
「もともとIT国家であることもあり、リモートでの在宅勤務で生じる混乱は、特に何も報道されていません。学校授業のオンライン化も、もともと進んでいましたしね。そんななか、フードデリバリーとともに伸びているのは、生鮮野菜などを配達するオンラインスーパーです。ドライバーの数百名単位での採用や雇用の促進にもつながっているようで、最近ではコロナで需要減となったタクシー会社との提携も発表されました」
中小企業や個人への補償も手厚く、企業、労働者向けの賃金補助や個人向けの現金給付、さらには隔離されている外国人労働者にも相当分の日当が与えられる。まだ感染拡大が抑えられているとは言い難いが、Aさんによれば「サーキットブレイカーによる一定の効果が見られ、国からの感染経路に関する透明度の高い発表や、補償についても納得感があることから、国民が政権を批判する声は少ない」という。
Aさんは、日本の現在の状態に「自粛とは本来補償とのセットであってほしい」と言いつつ、帰国できた時、好きだった飲食店がまだ営業しているかどうかが気がかりだと心配を口にしていた。