コロナ禍の影響で世界的大恐慌となっている。気になるのは今年のボーナスがどうなるかだろう。人事ジャーナリストの溝上憲文さんはこうみる。
「産業全体が苦境だが、特に切迫しているのは旅行、宿泊、飲食、航空、鉄道、小売りなどの業界。ただ、今夏のボーナスは春闘で妥結していますから、大手はほぼ影響ありません。それでも、中小企業は下がるところもあるはずです」
ボーナスが下がるどころか、会社によっては「ボーナスか雇用か」という選択を迫られるところもある。冬のボーナスはさらに悪化する見込みだという。
「冬以降の賞与は悲惨な状況が予想されます。前述した業界は影響を食らいます。日本の基幹産業の1つである自動車も、工場の操業が停止している。世界の購買意欲が冷え込んでいるいま、厳しいと言わざるを得ません」(溝上さん・以下同)
住宅ローンのボーナス増額払いなどを設定している人は注意が必要だ。それでも、仕事があればまだいい方なのかもしれない。
「今後、完全失業率の上昇が予想される。これまで最悪だった、リーマン・ショック後の2009年7月の5.5%を超えることは確実な情勢です。不況になれば自殺者が増加したり、治安の悪化も懸念されます」
逆に、今後も明るい業界とはどういった分野だろうか。
「いわゆるネット通販を手がける会社はこの状況下でも伸びるでしょう。食品デリバリー業なども同様です。そしてテレワークへの移行で通信インフラ企業やシステム系、コンピューター関連はよさそうです。医薬品製造やドラッグストアなどの医療関係も今後、期待できる業界です」