「親子世帯」だともらえない
「世帯合算」制度は介護保険の「高額介護サービス費」にもある。住民税非課税世帯の場合、介護サービス利用者が1人だと負担限度額は月2万4600円だが、夫婦2人で介護サービスを利用しても、負担限度額は世帯合算のため2万4600円のままだ。
また、1か月ごとに計算される高額療養費と高額介護サービス費の還付を受けた上で、夫婦(世帯全員)の年間の医療費と介護費の総額が一定額(70歳未満の住民税非課税世帯は34万円)を超えた場合、「高額医療・高額介護合算療養費」制度で、さらなる還付金を受け取れる。
夫婦世帯は住宅費にもメリットがある。多くの自治体で、民間賃貸住宅に住む高齢者世帯(65歳以上など)に家賃補助制度を設けている。単身世帯にも適用されるが、夫婦世帯の方が助成額などで有利になる。
年金制度でも、昨年10月から始まった「老齢年金生活者支援給付金」(月額最大5030円)は夫婦世帯の方がもらいやすい。この給付金は国民年金受給者など年収約88万円以下の人に支給され、「夫が厚生年金、妻は国民年金」という夫婦2人の年金生活世帯であれば、妻がもらえるケースが多い。
しかし、「世帯全員住民税非課税」という条件があり、夫婦2人であれば支給対象なのに、社会人の子供と同居(同一世帯)だともらえなくなる。定年後世代は「夫婦2人世帯」で制度をフルに使うのがベストな選択と言えそうだ。
※週刊ポスト2020年5月8・15日号