表にも整理したが、返済パターンの変更は大きく3つに分かれる。どのような人にとって有効なのか、同機構のメニューに基づき見ていこう。
【1】返済特例
失業などで収入が著しく減少した場合は、返済期間を延長し毎月の返済額を減らす「返済特例」が利用できる。「年収が年間総返済額の4倍以下」「月収が世帯人数×6万4000円以下(4人家族なら25万6000円以下)」「年間総返済額の年収に対する割合が30%以上(年収300万円未満)で20%以上の収入減」といった収入基準のいずれかの要件を満たせば、最長で15年(80歳までに完済)の延長が可能となる。
表のように融資額2000万円(金利3%)の35年ローンを組み、毎月の返済額が約7万7000円の場合、返済期間を10年延長することで月々の支払いを約6万6000円に抑えられる計算だ。
ただし、期間を延ばして毎月の負担を減らすこのケースでは、総返済額が約380万円増加する。前出・丸山氏は返済特例について「完済までの期間が残り10年以下で残債1000万円以下という場合などで、目先の支出を少しでも減らしたい人に向いていると思います」とアドバイスする。
【2】中ゆとり(ゆとり返済)
残債が多く、子供の教育費や親の介護・医療費などがかさみ、当面の返済が苦しくなりそうな場合は、一定期間だけ返済額を軽減する「中ゆとり」を使う手がある。
【1】と同様の条件で毎月約7万7000円の返済をしている場合、3年の減額期間を設定すれば月々5万円まで返済額を減らすことができる。
「返済可能額を割り出して、ほぼ金利だけを払うゆとり返済を選ぶと、当面の返済額は大きく減らせます。ただ、元本部分はほとんど返済されないため、減額期間後は返済額が増加し、返済期間も延びてしまう。その後の負担が増えるので、会社員なら失業、自営業者なら休業に追い込まれた場合などの“応急処置”として考えてほしい」(丸山氏)