新型コロナが猛威を振るう中、この先、住居費をいかに捻出するか、アパートやマンションなど賃貸物件に住む人々は悩みを抱えているかもしれない。
現在、売り上げが落ち込んだ店舗などテナントの家賃については支払い猶予を含む支援策が講じられているが、賃貸物件に暮らす人の家賃支払いを支援する公的制度の拡充はあまり進んでいない。
民間では、大和ハウス工業が子会社の管理する賃貸物件約50万戸の家賃支払いを猶予すると発表したほか、大東建託などの大手が家賃猶予の支援策に乗り出している。だが、中小や個人の大家は、所有物件のローン返済や修繕費の支払いなどを抱えているケースが多く、家賃支払いの猶予や減免には応じにくいのが実状だ。ファイナンシャルプランナーで節約アドバイザーの丸山晴美氏が解説する。
「新型コロナ騒動で不動産賃料相場は下落傾向にあります。“店子に逃げられるよりはマシ”と考える大家さんもいることから、賃貸物件に住む人は家賃の引き下げなど交渉の余地はあるでしょう」
もっともそれぞれの交渉次第であるため、誰もが使える手ではない。そこで、家賃の支払いに窮した場合に活用したいのが、厚生労働省が所管する「住居確保給付金」である。
各自治体の生活困窮者自立支援相談窓口などで相談・申請を受け付け、家賃相当額が最長9か月間補助されるものだ。これまでは65歳未満で離職・廃業から2年以内、世帯収入と資産が一定以下であるなど条件は厳しかった。しかし、このうち「年齢、離職・廃業から2年以内」などの要件が4月下旬に緩和され、対象が拡大した。
「失業したり、求職のためにハローワークに行ったりしていなくても、給付金がもらえるようになりました。その他の要件は自治体によって異なりますが、東京23区の場合、単身世帯は月収13.8万円以下で資産50.4万円以下なら月5.37万円、2人世帯は月収19.4万円以下で資産78万円以下なら月6.4万円が各上限として支給されます(詳しくは別表)。いずれにしろ、世帯収入が減っただけでなく、預貯金など資産も少なくて住むところにも困る人が対象となるので、適用条件をしっかり確認してください」(同前)