この点について、オフショア人民元対ドルでも同様である。高値ベースでは0.9%、終値ベースでは0.7%のドル高(元安)にとどまっている。
市場参加者がグローバル投資家であり、制度上、値幅制限のない香港オフショア市場においても、異常な変動はなかったのである。
これに対して、円ドルレートを見ると、大きくドル安(円高)に振れている。安値ベースでは6.6%、終値ベースでは3.7%のドル安となった。人民元為替と円ドル為替との変動幅の違いは歴然としており、そのことが、両国株式市場の変動幅の違いとなって表れている。
為替市場の安定は株式市場の安定に繋がる。
中国株式市場は外国人の投資が大きく制限されている。その上に為替制度は変動相場制ではなく、管理フロート制であり、また、依然として厳しい資本規制が存在する。それらが外因性のショックから国内株式市場を守る働きをしている。
この先、国際市場において、別の形での大きなショックが発生するかもしれない。そういうケースを想定した場合、本土市場への分散投資は我々の資産を守る有力な手段の一つになり得るかもしれない。
■TS・チャイナ・リサーチ 田代尚機