新型コロナウイルス感染拡大の経済対策として、1人あたり10万円の特別定額給付金が支給され始めた。コロナで収入が減った人たちだけでなく、申請すればすべての国民に支給されるものだが、なかには申請してよいものかどうか、悩んでいる人もいるという。
「私なんかが申請してもいいのですかね?」
こう語るのは、東京都下に住む74歳女性・Aさんだ。長く専業主婦生活をしており、今は夫婦で年金生活をしている。同年齢の夫は定年後も3年前まで仕事をしており、年間数百万円の収入があったという。
マイホームのローンも終わっており、住むところには困らない。さらに貯金もある。年金があれば十分に生活できる状況で、夫婦合わせて20万円をもらうことに対しては“罪悪感”があるのだという。
「多分、私たち夫婦は、生活保護を受けることなく生涯を終えることができると思います。年金もありますし、夫も最近まで仕事をしていたから貯金もあります。今では別にお金をたくさん使う機会もないですし、贅沢もしようとは思いません。今回の“10万円”って本来は苦しい人に渡すべきものですよね? 正直、私たち夫婦は苦しくありません。それなのにもらっていいのでしょうか? 申請するのを今、ためらっているのです」(Aさん・以下同)
この夫婦が申請をすれば20万円がもらえる。この20万円があれば、コロナ禍が終わった後にたとえば台湾やタイへの4泊5日旅行などもできるかもしれない。夫婦で高級寿司店やレストランに何度も行くことができるだろう。
もちろんAさんだって、お金があった方がありがたい。「なんとか息子・娘、そして孫に財産は遺してあげたい」と思っているからこそ、普段から贅沢をしない節約生活を送っている。