実は、それ以前にも、石井さんは京さんに怒りをぶつけたことがあった。
京さんのマネジャーが亡くなった際、納骨のため2人でハワイのお墓へ行ったとき、京さんが、自身のお墓も同じ墓地に買ってあることを明かしたのだ。
「まだ90才になる前でしたから、『そんなこと言わないでください!』って、ものすごく怒りました。京さんは笑っていましたが、私は、お墓の話なんて京さんとしたくなかったのです」
そして2019年5月、京さんは心不全でこの世を去った。最期の日、病院へ駆けつけた石井さんが手を取ると、京さんはぎゅっとその手を握って「ありがとう、うれしい」と言葉をかけた。
それから半年後の11月、京さんの遺骨は、生前購入したハワイの小高い丘にある見晴らしのいい墓に埋葬された。納骨を見守ったあの日から、石井さんは京さんのことを思い出さない瞬間はない。
「遺品として、遊女の役を演じている京さんの大きな写真をいただきました。今年の命日は、新型コロナでハワイのお墓へ行けなかったから、『京さん、ごめんなさい。そのうち行くからね』と、毎朝、写真に向かってお話ししています」
大女優は、いつまでも石井さんの心を揺さぶり続ける。
※女性セブン2020年7月9日号