今後、毎日出社を是とする働き方が、大きく変わっていくだろう。本社を都心部から移転する企業も増えてくるかもしれない。そうなると、出社のためだけに都心に住むという必然性は確かに薄れてくる。
例えば週に3回の出社ということなら、郊外とは言わないまでも、都心から少し離れた場所に住むのもひとつの考え方だろうし、住まい選びに関しても選択肢が増えることが予想される。
さらに見逃せないのが、介護離職問題の対策にもなり得る点だ。親の介護と仕事との両立は現役世代にとって避けては通れず、老親などの介護のために離職する介護離職が大きな問題となっている。平成29年の介護離職者数は約10万人。平成19年と比べて約2倍に増えている。制度的には育児介護法が施行され、令和3年からは休暇を時間単位ですべての労働者が取得できるようになった。しかし、介護離職者数が減るかと言えば、その実現への道は険しい。
そこで有効なのがテレワークだ。例えば親が、受診の付き添いが必要な要介護者だとする。午前中に付き添いが終わり、その後は親をデイサービス等の通所サービスに送り出す。テレワークなら出勤することなく自宅に戻って仕事ができ、通勤時間も省ける。親を在宅で介護する場合も、仕事と両立させる時間の使い方を自身で調整可能となるだろう。
※週刊ポスト2020年8月1日号増刊『ゼロから始めるテレワーク最強攻略ガイド』より