――会社にいるのと同じようなコミュニケーションは具体的にどうすれば実現できますか。
田澤:「仮設クラウドオフィス」をつくることを提案したいと思います。仮設クラウドオフィスは、ZoomなどWeb会議ツールを利用して始業から終業までずっとつなげて、「離れていても一緒にいるように仕事をする」手法です。Webカメラやマイク、スピーカーを介して会社の仲間がみんなそこにいる、という感覚を共有するのです。
常にスピーカーをONにし、カメラとマイクをOFFにしていればオフィスにいる感覚で仕事に集中できます。誰かに用があれば、マイクをONにして名前を呼んで話しかけることもできます。運用のルールは、それぞれの会社にあったやり方で決めれば良いと思います。
――在宅勤務では、働く人自身のON・OFFの切り替えが難しいという声があります。
田澤:「会社なら仕事ができる」という考えの裏には、会社にはタイムカードがあり、上司の目もあるので、ひとりだけ昼寝するわけにはいかないという意識があります。であるならば、働く人のON・OFFを切り替えられるような環境をクラウド上につくれば良いのです。仮設クラウドオフィスの仕組みがうまく活用できれば、勤怠管理もスムーズに行えるはずです。ICTツールを十分に揃えることが難しい会社は、ぜひ取り組んでほしいですね。
在宅でも会社と同等の仕事をする発想が大切
――「会社と同じように働く」段階へと進むためには何が必要でしょう。
田澤:在宅勤務のために現在の業務を切り分ける、という発想をまず捨ててください。働く側もテレワークでできる仕事を新たに見つける、という考えを捨てましょう。在宅勤務とオフィス勤務を切り分ける発想だと在宅勤務向けの人材を新たに集める必要があり、働く仕組みも別に用意しなければなりません。今会社で行っている業務を在宅でも可能とするにはどうすれば良いか、という視点が重要なのです。