コロナ後もリモートワークを継続する会社が多いなか、「出社組」と「在宅組」の間の溝は広がるばかりだ。
「在宅組とウェブカメラで仕事の打ち合わせをしていると、背後からテレビの楽しそうな音が聞こえてくる。ランチを食べる店もなくて困っているのに、『料理をする時間が増えた』なんて能天気なことを言っていて、いい加減にしてほしい」(30代メーカー社員)
通勤がなくて“楽でいいな”という視線を向けられる在宅組にも、深刻な悩みがある。
「家が狭くて自分用の部屋なんてないから、食卓で仕事をするしかない。落ち着いて仕事に集中できないし、妻にはますます邪魔者扱いされる。出社組に『在宅でいいですね』なんて言われると本当に腹が立つ」(40代金融関係)
人材派遣サービスを行なうパーソル総合研究所が6月10日に発表した調査結果によると、在宅組は「自分は孤立している」「サボッていると思われないか不安」という感情を抱え、出社組は「不公平だ」「在宅組に仕事を相談しにくい」などの不満を持ちやすいという。
両者の対立をより深刻にするのが「お金」の問題だ。人事ジャーナリストの溝上憲文氏が語る。
「コロナ禍で急に在宅勤務が始まったため、会社側が在宅勤務環境まで面倒を見るケースはほとんどない。在宅勤務用のデスクやウェブカメラなどはほとんど自腹。在宅組には通信光熱費、電話代なども会社に払ってほしいという不満があるようです。“残業代が請求しにくい”という声もよく耳にします」