アメリカは中国に対して、WTO(世界貿易機関)加盟のための2カ国間協議の時代から一貫して、市場開放を強く迫ってきた。
特に金融領域における要求は非常に厳しかったが、現在に至るまで、中国の株式市場は閉鎖的なままで、為替に至っては隠然と操作を続けている。中国は粘り強い交渉によって、グローバル機関投資家を背景にもつアメリカの要求を上手くかわし続けて現在に至っている。
中国本土の株式市場は決して安定した株価形成がなされているわけではないが、少なくとも自国の投資家が価格決定の主導権を持っているといった点で、日本とは大きな違いがある。
グローバリゼーションを無理に進めなかったことが、中国の経済発展において重要な意味を持っていると考えている。
日本政府は決して何もしていないわけではない。株式市場においてはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)を通じた買い支えを行っており、為替市場においては市場介入を行っている。株式市場、為替市場の安定を保とうとしている。そのことを国際社会(アメリカ?)に対して大っぴらに言えないだけである。
日本政府は、日本企業、日本国民のために、為替、株式市場を安定化させる力を持つべきである。我々に対して不利益をもたらす行為についてはしっかりと規制すべきである。日本もグローバリゼーションを見直すべきである。
文■TS・チャイナ・リサーチ 田代尚機