たとえば、課税所得が400万円の世帯(所得税率20%)の医療費が年間20万円の場合、超過分の10万円が控除対象になり、2万円が戻ってくる。また、「医療費」として認められるのは病院の窓口で支払った金額に限らない。
「基本的に“治療に要した費用”かどうかが基準になります」(同前)
町田氏によれば、病院や調剤薬局で払った治療費や薬代だけでなく、ドラッグストアで購入した市販薬や治療のための保護メガネ、松葉杖や補聴器も医療費控除の対象に含まれる。さらに通院費は、電車やバスはもちろん、急を要する場合はタクシー代も認められる。患者本人だけでなく、付添人の交通費も同様だ。
医師が認めれば、さらに多くのサービスも対象になる。高血圧症や高脂血症等の症状があり、医師からの運動療法の処方箋がある場合は、厚労省が指定するスポーツジムの利用料も医療費控除の対象になる。医師の指示に基づく鼻炎用マスクや血圧計、加湿器などの購入費用、治療のためのマッサージ、はり灸なども認められる。
「定期的に病院に通い続けていると、それに付随して医療控除の対象となる諸経費が発生しやすい。治療目的と考えられ得る出費の領収書はきちんと受け取って保管しておきましょう」(同前)
医療費制度を理解すれば、安くて質の良い治療が受けられるのだ。
※週刊ポスト2016年7月15日号