吉田みく「誰にだって言い分があります」

給付金申請でママ友から困窮を心配された34歳女性のモヤモヤ

一律にもらえる特別定額給付金までマウンティングのネタに(時事通信フォト)

 新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の一環として、1人あたり一律10万円が配布されている特別定額給付金。補正予算が成立してからほぼ2か月が経ったが、実際の給付は遅れており、7月1日までで全国の給付率は平均約74%にとどまり、大都市圏では特に遅れが目立っている。フリーライターの吉田みく氏が、特別定額給付金をめぐる一言がきっかけで、思わぬ方向に話が進んでしまったある主婦のケースを紹介する。

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「マイナンバーカードを持っていたので、スムーズに申請することができました」──今回の出来事を語ってくれたのは、自宅でネイルサロンを営んでいる彩さん(仮名・34歳)。夫と娘2人で暮らしている。

 彩さんの夫は以前からマイナンバーカードを持っていたため、特別定額給付金の申請はオンラインで行った。支給までに時間がかかると聞いていたが、1週間ほどで振り込みが確認できたので驚いたそうだ。家族4人分のため、40万円となる。非常に大きな金額だ。

 緊急事態宣言が5月下旬に解除され、新しい生活様式を取り入れた日々が始まり少し経った頃、同じ幼稚園のママ友たちと久しぶりに再会。後日、彩さん宅でプチお茶会をすることになった。その時に話題になったのが特別定額給付金だった。

「申請したらすぐに振り込まれてびっくりしたよ」と彩さんが何気なく話すと、ママ友たちは驚いた表情をしたそうだ。聞けば、ママ友たちは郵送で申請を行ったため、まだ振り込みの確認ができていないとのこと。話はそこで終わると思っていたのだが……。

「“そんなに急いで申請したの?”って言われました。“そんなに急がなくても、いつか入るんだし……ねぇ”ですって」

 ママ友たちは顔を見合わせて心配そうな表情をしていた。彩さんは、「新型コロナウイルスの影響で収入が減少したと心配されている」と思ったという。だが、元々ネイルサロンはお小遣い程度の稼ぎしかなかったため、家計に大きな影響はなかった。慌てて場の雰囲気を変えようと明るく振る舞ったが、あまり状況は変わらなかったと語る。

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