今や日本で一番注目されていると言っても過言ではない印章店が福岡にある。「はんのひでしま」、名を馳せたのは、10万本という膨大な三文判の在庫にある。そもそも日本人の名字は約15万とも言われている。この店の2代目代表の秀島徹さんによると、「10万本で日本人の名字の99%に行くか行かないくらい」カバーできているらしい。
創業は1931年(昭和6年)。近くに役場があったことから、手続きに必要なハンコを揃えた。その後日本が高度成長期を迎えると、ますますハンコの出番は多くなる。手続き、契約、登録など。オーダーすると何日も待たされた時代、「今必要な人のためにすぐに手渡せるように」と、秀島さんはさまざまな名字のハンコを彫り続けた。
今や全国区の印章店となり、毎日色々な珍名さんが店を訪れる。「私のハンコはありますか?」など、問い合わせも多いそうだ。余談になるが、「あっさり自分のハンコが見つかった珍名さんは、意外にがっかりするよ」と、秀島さんは笑う。ちなみに同店で最も画数が多いのは「躑躅森」で54画だという。
日本人にとってまだまだハンコは欠かせない。電子印鑑などの普及も急速に進んでいると聞くが、秀島さんは印章の未来をどう捉えているのだろう。
「政府が今進めているマイナンバーカードやペーパーレスが普及してくれば、実印の必要性はなくなってくるだろうね」