「熊本県人吉市」で検索すると、甚大な被害となった球磨川流域に沿って災害が発生する地域が色分けして表示されている。さらにピンポイントで知りたい時は、地図上の該当箇所をクリックすれば、洪水によって想定される水深や、地滑りが予想される地域、ため池の決壊が予想される地域など、細かくリスクを予想できる。
各自治体が整備しているハザードマップも参考にしたい。例えば東京都荒川区は、荒川の堤防が複数個所で決壊した場合を想定し、水害の大きさを赤色の濃さで示している。横浜市西区では、丘陵地帯に隣接した地域で土砂災害が多数発生する危険性を示している。いずれも、土地勘があればハザードマップを眺めるだけで、どの地域・地形の場所でどんな災害が発生する可能性があるか頭に浮かべることができるだろう。
豪雨災害は空から降る雨が原因だが、実際に自然災害に直面した時カギとなるのは、雨がこれからどのくらい降るかよりも、大雨によって「これからどんな地域・地形の場所が危ないか」である。日頃からハザードマップで身の回りの地域・地形を確認しておけば、特別警報を聞く時の実感もより増すに違いない。
【プロフィール】たんげ・やすし/気象予報士。日本気象予報士会東京支部長。著書に『気候で読む日本史』(日経ビジネス人文庫)、『気候文明史』(日本経済新聞出版)、他。