新型コロナウイルス感染拡大による影響により、旅行、出張の減少で、単身者・ビジネスマン向けの需要で拡大してきたビジネスホテルが厳しい。観光庁が6月30日に発表した4月の宿泊者数は前年同月比で80.9%減と過去最低水準となった。
そうしたなか、不動産サービス大手CBREの調査では、2019~2021年の3年間で国内ホテルの客室数は24%増える見込み。供給が増えれば、ビジネスホテルの価格競争はより激しさを増す。
すでにアパホテルはコロナ禍の自粛中にテレワーク用として1泊2500円プランを打ち出すなど価格破壊を断行。
東横インやドーミーインも追随を見せているが、「コロナ後はアパホテルの一人勝ちではないか」と予想するのは、ホテル評論家の瀧澤信秋氏だ。
「アパは地方の独立系ホテルを提携ホテルとして次々とグループ入りさせて拡大してきました。一方、東横インらはホテルのデザインなどハード面を統一しているため、違うタイプの建物だとブランディングの統一という点で難しさもある。
対してアパは特徴的なポイントを押さえたリブランド(看板の付け替え)でグループ施設を増やすことができる。今後はアパの一人勝ちとなってもおかしくないと見ています」
今後のホテル業界の勢力図は大きく変わるか。
※週刊ポスト2020年7月31日・8月7日号