かつて、お姉さん系ギャルブランドとして一斉を風靡した「CECIL McBEE」(セシルマクビー)が、年内を目処に全店閉店されることが発表された。「渋谷109」を象徴するギャルブランドとして、2000年代初頭には爆発的な人気を誇っていた。セクシーさと女性らしい力強さを兼ね備えたデザインは、安室奈美恵や浜崎あゆみブームの真っ只中にいた「コギャル」世代と、それ以降のギャル世代にとって憧れの的だった。
1990年代後半から2000年代初頭にかけては、渋谷109で月商1億円を記録していたというが、2000年代半ば以降、ギャルブームは徐々に下火となりはじめた。女性ファッションのトレンドは、カジュアル志向、スポーティー路線へ進んでいった。そうしたトレンドの変化に加えて今回のコロナ禍により、業績悪化に歯止めが効かなくなったという。
“平成ギャル”たちは、今回の報道に触れてショックの色を隠せない様子だ。「セシル」ブームの真っ只中に、渋谷の有名私立女子中学校・高校に通っていたという女性Aさん(32歳・東京都出身)は、当時の様子をこう回想する。
「中学受験をして渋谷の女子校に通い出したのが、2001年でした。学年で大人っぽい子たちは、みんなセシルのショッパー(※ショップのロゴが入っている袋)を持っていて、入学当時はあのロゴが憧れでしたね。セシルだけでなく『me Jane』(ミージェーン)や『COCOLULU』(ココルル)、『LOVEBOAT』などが流行っていた。そんななか、セシルはセクシーなお姉さん系の路線が魅力的でした。
学校が渋谷なので、帰りに友達とマルキュー(※渋谷109)に遊びに行きたいわけです。でも、規則が厳しい学校だったので、先生たちが補導活動をしていて、街で見つかると親が呼び出しを食らう。それでも、どうしてもマルキューに行きたかった(笑い)。だから学校帰りに渋谷のトイレで市販の制服に着替えて、メイクをして109に向かったことを覚えています。
それだけ、当時の中学生にとっては憧れの、ワクワクする空間だったんですよね。マルキュー店員さんのかっこよさ、香水いっぱいの店内の匂い、付け爪の長さ、厚底のヒール……。ギャル文化のすべての真髄が、ひとつひとつに宿っていた。当時の光景がいまも思い起こされます」(Aさん)