──社長に就任した2008年は、リーマンショックで世界経済が大混乱に陥った時期でした。
谷田:今思えば、大変なタイミングで社長になったものです。
ターニングポイントは2009年3月、NHKの『サラリーマンNEO』という番組に弊社の社員食堂を取り上げていただいたことでした。それがミリオンセラーとなった『体脂肪計タニタの社員食堂』(大和書房)につながりました。
──反響は大きかった?
谷田:本が売れ、さまざまなメディアで紹介されると、「タニタの社員食堂で食べてみたい」という電話が毎日来るようになりました。「社員向けで一般の方はご利用いただけない」と平謝りでお断わりする日々でしたね。
そこで、どなたでも利用できるタニタの食堂を出そうと考え、2012年に東京・丸の内にタニタ食堂を出店しました。
──「タニタ食堂」は大ブランドに成長しました。
谷田:タニタ食堂の献立は、ヘルシーさと味を両立させるため、原価は非常に高くなっています。これは国内市場でシェア約5割を誇る体組成計という“柱”があるからこそ可能なビジネスです。
重さをはか(量)る技術はもちろん、からだをはかる技術の精度の高さがタニタの基本軸ですが、その強みを活かして「健康を“つくる”企業」へと発展させていきたいと考えています。タニタ食堂はそのチャレンジのひとつですし、2018年から展開する「タニタカフェ」も、野菜を摂れるスムージーやフードメニューが好調です。
──今後のビジネスの有望ジャンルは?
谷田:ここ数年は、アルコールチェッカーなどの商品群が好調です。航空会社の乗務員による飲酒問題もあってニーズが一気に増えましたので、法人向けのアルコール検知器も拡大しています。