23区で最も危険とされる墨田区
東京スカイツリーがそびえ立つ墨田区は、23区で最も危ない地域の1つ。ほぼ全域が「ゼロメートル地帯」と呼ばれる標高の低さで、水害はもちろん、軟弱な地盤による激しい揺れが想定される。両国地区内にある旧陸軍被服廠跡地(現・横網町公園)では、1923年の関東大震災の際、火災により3万8000人もの犠牲者を生んだ。
台東区については、「千束池」や「姫ヶ池」は約400年前に埋め立てられたとみられ、周辺も広域な湿地帯だった(地図内「A」参照)。湿地の植物が腐って堆積した水を多く含む「腐植土」が堆積する場所も多いので要注意である。
大昔に海だった場所が「潮だまり」のように残ったのが不忍池といわれている(地図内「B」参照)。根津や谷中の一部、千駄木などの地域は揺れやすい谷底低地になっており、本郷三丁目や上野公園の段丘に囲まれる形で存在する。
文京区については、東京ドームから千代田区方面にかけて昔は「小石川大沼」という広大な沼地があった、後楽園の池はその名残(地図内「C」参照)。また「大曲」と呼ばれる神田川のカーブが存在する水道一丁目などの周辺には昔「白鳥池」があり、1600年代に埋め立てられたとされている。
不忍通りや白山通り、神田川沿いの外堀通りや新目白通りは谷底低地を走っている(地図内「D」参照)。これらの通り沿いは関東大震災の際、近隣地域と比べて強い揺れが生じ、被害が大きかったことで知られている。
※参考/東京都建設局「東京の液状化予測図 平成24年度改訂版」、東京都都市整備局「地震に関する地域危険度測定調査」、国土交通省国土地理院デジタル標高地形図、『首都大地震 揺れやすさマップ』(目黒公郎監修/旬報社)、『川の地図辞典 江戸・東京/23区編』(菅原健二著/之潮)
※女性セブン2020年8月20・27日号