7月末にドル円は1ドル=105円を割る場面も見られるほど下落した一方、ユーロドルは8月にかけ年初来高値を更新するほど上昇したが、両通貨が逆相関の値動きをしたのはなぜか。FX(外国為替証拠金取引)などのカリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが、通貨ペアの相関性について解説する。
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ドル円とユーロドルは相関性があり、特にドルが主な要因で値動きした場合は、互いに影響しやすい傾向にあります。ユーロ主導でユーロドルが動いた場合は、ドル円へのインパクトは低いこともあるため、世界の基軸通貨であるドルの方が影響力は高いといえるでしょう。今夏にかけてのドル円とユーロドルは下落・上昇と逆の動きをしましたが、両通貨ペアの値動きには共通してドル安が影響していると考えられます。
FXの取引対象である通貨ペアは、2国間における通貨価値のバランスをもとにレートが変化します。ドル円が変動した場合でも、ドルもしくは日本円のどちらの価値がメインの要因となってレートが動いたのかを把握するよう努めた方が、より精確に通貨ペアの値動きをイメージでき、トレードにも活かしやすくなります。
他にも主要通貨の中ではユーロとポンド、豪ドルとニュージーランドドルの間にも相関性は見られます。これはイギリスとEU、オーストラリアとニュージーランドは共に近隣諸国であり、経済的にも深い関係にあることが原因です。
こうした特定の通貨ペアにおける相関関係を把握しておけば、「ドル円が上昇したときはユーロドルが下落しているのではないか」「ユーロドルが上昇したときはポンドドルも上昇しているのではないか」と、値動きをイメージできるようになり、それをトレードに繋げることも可能です。ただし相関関係通りの値動きを毎回するとは限らないので、取引を検討する際は、他の取引材料と共に総合的に判断するのがよいでしょう。
通貨ペアの相関性に加え、その国の政策や金利動向などにも目を向け、値動きの背景に理解を深められれば、トレードスキルの向上に繋がります。私はテクニカル分析をメインにトレードしていますが、他の金融市場の動向もチェックしています。為替相場に限らず金融市場全体で値動きの背景や関連性を把握することで、投資の幅を広げることもできるでしょう。
【PROFILE】池辺雪子(いけべ・ゆきこ):東京都在住の主婦。若い頃から株や商品先物投資を学び、2000年からFX投資を始め、これまでに8億円以上の利益をあげている敏腕トレーダー。2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予刑が確定。その結果、所得税、延滞税、重加算税、住民税、罰金(約5億円)を全て即金で支払う。2010年9月に執行猶予が満了。現在は自らの経験をもとに投資、納税に関するセミナー、執筆活動を行っている。トルコリラ/円、ドル/円、他通貨、日経平均株価などの値動きに関する詳細な分析を展開する「池辺雪子公式メルマガ」も発信中(http://yukikov.jp/)