相続放棄は個々の相続人が選択できるが、限定承認をする際は、“相続人全員の同意”が必要だ。
「放棄する相続人がいても、他の相続人が相続することもあります。たとえば、事業をしていて継承する場合、借り入れの負債込みで相続する人もいます」(前出・曽根氏)
そうした相続方針を決めるためにも、財産の確認が欠かせない。
「死後3か月の間に、遺言書や財産目録を確認します。財産目録の作成に時間がかかる場合、借金などの負の遺産だけでも急いで確認してほしい」(前出・曽根氏)
財産放棄や限定承認の手続きをする場合、膨大な書類が必要になる。
「被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍や、相続人全員の戸籍、印鑑、印鑑証明、財産目録など、相続に関する証明書類一式が必要です」(前出・曽根氏)
また、故人の収入によっては、所得税の準確定申告を忘れてはならない。
「故人が亡くなった日までのその年の所得を申告するもので、死後4か月以内に行なう必要があります。年金収入が400万円以下、それ以外の所得が20万円以下の人などは申告義務がありません」(税理士法人タックス・アイズ代表の五十嵐明彦氏)
※週刊ポスト2020年8月28日号