遺産相続の手続きは、タイミングを逸すると思わぬトラブルのもととなる。生前なら遺言書を作成しておくことがトラブル回避の鍵になるが、死後にある様々な手続きがトラブル回避の鍵になる。死亡直後は、死亡を確認した医師から死亡診断書を受け取り、死後7日以内に死亡届や火葬許可申請書などを提出する。
弔いに関する手続きは、葬儀社が代行するケースが一般的だ。その後14日以内に、故人が加入していた健康保険窓口への健康保険の資格喪失届、年金事務所への年金受給権者死亡届など、健保・保険関係の手続きをする。
葬儀などがひと通り済むと、そこから相続手続きが本格的に始まる。それに先立って、死後の1か月以内に忘れずに行いたいのが、公共料金等の変更・解約、運転免許証の返却、クレジットカードの解約だ。
特にクレジットカードの残債は相続人が引き継ぐので、注意が必要だ。
また、期限はないものの、のちに相続税の申告などで便利になる「法定相続情報一覧図」の作成や、生命保険などの「死亡保険金請求書」の提出は、死後速やかに行なっておく。
本人自筆の「自筆証書遺言書」が存在する場合は、相続人全員立ち会いのもと、家庭裁判所で遺言書を検認する。ただし、公証役場の公証人が書く「公正証書遺言」と、自筆でも今年7月10日以降に法務局で保管された遺言書ならば、検認は不要だ。
※週刊ポスト2020年8月28日