現代人は「節約上手」より「やりくり上手」を目指す
総務省「家計調査報告20年6月分」によると、2人以上世帯の食費は平均月7万7246円。一般的に、食費は手取り収入の2割までといわれているが、物価の高い都心部では1人あたり月2万円はかかるという。節約アドバイザーでFPの丸山晴美さんが解説する。
「3年ほど前までは都心でも1人あたり月1万5000円といわれていましたが、いまは難しい。4人家族なら食費は米代別で月8万円が目安で、そのうち外食代は1人月5000円まで。つまり4人家族であれば、スーパーでの買い物は月6万円が上限です」
この金額を上回る場合は、スーパーで余計な買い物をしている可能性が高い。出費を見直す前に、「節約上手」と「やりくり上手」の違いを押さえておきたい。毎日こまめにチラシをチェックし、1円でも安いスーパーを探して買い物ができるのは「節約上手」な人だ。こういった人は目的を持ってスーパーへ行くので、毎日通っても必要なものだけを買って無駄遣いはしない。
しかし、仕事と育児の両立で忙しい現代人にはじっくりチラシを見比べる余裕はない。ほとんどの人が仕事帰りに近所のスーパーへ駆け込んでいるだろう。丸山さんは、「まとめ買い」をしているほとんどが、時間に追われている人たちだと話す。
「週に数回のまとめ買いをしている“やりくり上手”な人は、買い物にかかる時間や労力をトータルで考えます。たまたま安いものがあればラッキーという程度で、安さはそれほど求めていません。『お得』よりも無駄をなくすことが第一なのです。そういう意味では、几帳面ではない人が無理して“節約上手”になる必要はなく、“やりくり上手”を目指せばいいのです」
なんとなく立ち寄ったスーパーで買う予定のなかった新商品や、レジの横にあったお菓子に手が伸びたことはないだろうか。スーパーの店内は商品の陳列レイアウトや半額シール、宣伝用のポップなど、客の購買欲をかきたてる工夫が隅々までされているため、目的なく訪れると散財をする羽目になりやすい。
「スーパーへ行くと、みんな“トレジャーハンター”になるんです。食費を安くするため賞味期限の短い半額商品を探して、使いきれずに無駄にしてしまう。こまめにスーパーへ行くほど、この悪循環にハマりやすい」(丸山さん)
この悪循環にハマらぬためには、スーパーへ行く回数を、これまで登場してきたお金の専門家のように「少なくする」工夫が重要なのだ。
※女性セブン2020年9月3日号