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「幻の大型合併」キリンとサントリー、日本郵政と野村不動産 なぜ破談になったか

準公務員とデベロッパーの組み合わせ(日本郵政本社=左と野村不動産本社。時事通信フォト)

準公務員とデベロッパーの組み合わせ(日本郵政本社=左と野村不動産本社。時事通信フォト)

 ライバル企業同士が互いの価値をどう評価するかという難しさもあって、経営統合は幻に終わった。

 2017年には日本郵政が、「プラウド」など高級マンションのブランドで知られる野村不動産ホールディングスの買収に動いたこともあった。不動産業界に詳しい住宅ジャーナリストの榊淳司氏はこう話す。

「日本郵政は全国各地に郵便局や社宅を多数保有しているものの、それを有効活用する部署も、ビジネスのノウハウもありません。マンション開発に強みを持つ野村不動産のノウハウを手に入れようと、親会社で株を3割強保有する野村HDと交渉を重ねていました」

 丸の内や博多にオープンした「KITTE」(設計は三菱地所)の例からもわかるように、都心の一等地にある郵便局の土地の再開発は巨大ビジネスとなる。地方の一等地でも、1階は郵便局、その上は「プラウド」ブランドの高級マンションが――という未来を予感させたが、同年6月に日本郵政側が「(買収の)検討を行なっている事実はない」と発表。野村不動産HDも「検討を中止いたしました」として実現に至らなかった。

「2012年に初めてマンション供給戸数で業界首位に立ち、営業力に定評のある野村不動産側の社員と、準公務員だった日本郵政の社員ではマインドが正反対であり、野村不動産側が反発したと言われています」(前出・榊氏)

※週刊ポスト2020年9月4日号

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