外出自粛要請が続く中、各企業が在宅勤務の推進をしているが、それでも出社せざるを得ない社員たちもいる。ある外資系企業では、社員たちに「やむを得ず出社する場合でも、電車・バスなどの公共交通機関の利用を禁止する」という通達がなされているという。
満員電車で通勤すると密閉、密集、密接の「3密」になってしまうため、それを避けるために出された措置だが、事態の長期化により、思わぬ事件が続出しているという。同社社員のAさんが言う。
「政府が緊急事態宣言を出したのは今年4月でしたが、弊社では2000年代、新型インフルエンザ発生時に危機管理体制のガイドラインを整備していました。それに従って、今回は2月中にオフピーク通勤、在宅勤務、スプリットオペレーションでの業務継続が命じられました。スプリットオペレーションとは、業務を複数のチームに分散し、同時感染のリスクを回避するものです」(Aさん。以下「」内同)
同社のガイドラインでは複数のシナリオが想定されており、国内のみの流行であれば、海外への業務移管もあり得たとか。今回の新型コロナウイルスのケースではそれは不可能だったが、3月に入ると一段階上の危機管理対策が取られたという。
「日本法人のオフィスは東京のど真ん中にあり、ごくごく一部の役員を除けば、社員はほぼ全員電車通勤。しかし、本社から公共交通機関の利用禁止という通達がありました。ただ、業務の性質上、どうしても自宅では仕事ができない社員もいます」