結婚しても仕事を続けて経済的に自立する女性が増えた今、昔に比べて離婚のハードルは低くなった面はあるかもしれない。だが、子供がいる場合には一筋縄ではいかない。神奈川県の主婦・Aさん(39才)も、子供をめぐる問題に頭を悩ませているという。離婚を決意したものの、夫が親権を主張。親権を取られないために何を準備すべきか? 弁護士の竹下正己氏が回答した。
【相談】
4年ほど前に結婚し、3才になる息子がいますが、夫と離婚することになりました。離婚の理由は、性格の不一致です。夫は仕事を理由に、ほとんど子育てや家事を手伝ってくれませんでした。それがいまになって、「自分には安定した収入がある」と親権を主張しています。私は現在無職ですが、離婚するまでに定職を探すつもりです。夫に親権を取られないために、私はどのような準備をしたらよいですか。
【回答】
離婚時に決めなくてはならない親権者について協議できなければ、最終的には家庭裁判所の判断を仰ぐことになりますが、親権者選定の基準について、民法は特に規定していません。
親権には、未成年者の監護教育に当たる「身上監護権」と子供の財産についての「管理権」が含まれます。子供に特別の財産がない場合には、身上監護をする上でどちらが親権者になるのが子供の利益になるかによって判断されます。
親側の事情としては、養育に対する意欲や愛情の程度、健康状態、経済的・精神的な生活環境等が重要です。子供側の事情として年齢、性別、子供のきょうだい関係、肉体的・精神的発育状況、従来の環境と適応性、環境変化への順応性などが問題になります。