具体的には、別居が先行していれば、養育を継続することが重視され、特に事情がない限り、親権者は従来から養育していた親がなると思います。また、乳幼児の場合には、母親優先の原則があるといわれています。母親が親権者になることが多いのはこうしたところからでしょう。
さらに、子供の意思も尊重されなければなりません。きょうだいが一緒に養育されることも大切です。家庭裁判所は、こうした種々の事情から、子供のために最も利益になる親権者を決定します。
ご質問の場合、幼児ですから、子供の意思は問題にならず、母親が親権者になる可能性は大きいと思います。しかし、親権をめぐって激しい争いになる場合もあります。その場合に備えて、最も肝心の子育て能力に難癖をつけられないように、日常の育児を愛情を注いで抜かりなく実行する必要があります。
経済力がないことを心配していますが、離婚後の夫には未成年の子供の養育費を負担する義務がありますから、決め手ではありません。職を得て自活する努力をし、それまでの間、実家やあなたのきょうだいの支援が期待できるのであれば、相談して協力体制を準備すればよいと思います。逆に、夫側に子供への愛情の欠如など子育てを任せられない事情があれば、その記録を残しておくことも必要でしょう。
しかし、まずは2人の協議で親権者を決めます。一方的に夫の粗を探すだけでなく、面会交流にも積極的に協力することを約束し、父子関係の維持発展を大切にする姿勢を示すことで夫の理解を得られると思います。夫があなたに子供を預けても心配はないと安心してもらえるような育児を心がけてください。
【Profile】竹下正己弁護士●1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2020年9月10日号