別の表現をすれば、外貨準備高が3429億ドル減って、資本勘定が3億ドル減って、その他の金融勘定が4856億ドル増えている。
外貨準備高については月次データが発表されている。この月次の動きをみると、2014年夏あたりをピークに減少傾向が続き、2015年11月末から2016年1月末にかけて下落幅が大きくなった。
この外貨準備高の動きと昨年末から今年初めにかけての急激な人民元安から、海外機関投資家を中心に「中国は資金コントロールができないのではないか、このまま資金流出が止まらず、人民元売り、ドル買いが続くのではなかろうか」といった懸念が広がったのである。
ただし、その後の外貨準備高の動きを追ってみると、減少傾向が止まっている。
今年3月末、4月末は増加、5月末は一旦減少したものの、6月末は再び増加に転じている。2015年末と比べると減少額は1252億ドルにとどまっている。また、外貨準備高の水準自体は2011年後半から2012年前半並みである。2009年1月末と比べれば67.5%増加している。もちろん、世界最大規模を維持している。
また、あまり目立たないが、金(ゴールド)による準備高を増やしている。昨年6月末には、5月末比で57.3%増やしており、その後も毎月、着実に積み増している。外貨準備の多様化も、外貨準備高減少の要因の一つであろう。
こうした現状を見る限り、資金流出、人民元安を過度に懸念する必要はなさそうだ。