中国は、1997年のアジア通貨危機の教訓を決して忘れていない。国内勢、海外勢の別を問わず、事業目的以外での外貨取引は厳しく制限されている。
海外の投資家が人民元相場で売り崩しを行なおうにも、相対的に規模の小さな香港オフショア市場から揺さぶるしかないが、こちらも実質的には当局の管理下にあり、目立った人民元売りに対しては行政面からの抑止力が働く。
今年1月以降、人民元対ドルレートについて、管理方法が、前日の終値を重視する方法から、通貨バスケットをより重視する方法に転換されている。人民元対ドルレートは相対的に安定した動きが続くと見た方がよさそうだ。
文■TS・チャイナ・リサーチ 田代尚機