さて、ご質問の時効ですが、民法では不法行為による損害賠償請求権は、被害者が損害及び加害者を知ってから、3年間権利を行使しなかったとき(ただし、今年4月から施行された改正法では、生命・身体を害する不法行為の場合は5年間)、または不法行為のときから、20年間経過したときに時効で消滅するとされています。
離婚から5年経過しているので、離婚したことを理由とする慰謝料は時効になっていますが、不貞行為は10年前からのもので、父親が知らなかったとすれば、まだ時効にはなっていません。そこで、今般発覚した新事実を証明できるのなら、慰謝料請求は可能です。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2020年9月11日号