──現在まさに「新型コロナウイルス」という新たな危機に直面している。
堀口:ワクチンができればコロナ前の状況に戻る可能性もありますが、元に戻らないことのほうが多いと考えておいたほうがいい。その前提で大胆かつスピーディに戦略を組み立てていく必要があります。
過去の慣習に捉われていてはダメで、ビジネスとしての確実性は低くても、まずはやってみる。ダメだったら、軌道修正してまたやり直していく。そういう柔軟性と瞬発力が必要でしょう。
飲料市場にしても、これまでは当たり前だと考えてきたことを、ゼロベースに立ち返って考えなくてはいけないことが増えていくでしょう。そのスタートラインにいち早く立てば、先行者利益を得られる可能性があります。そこがポストコロナに向けた1つの鍵になるでしょう。
「濁らない紅茶」を開発
──コロナ時代に対応した商品展開とは?
堀口:テレワークで在宅勤務が増え、運動不足や“コロナ太り”を気にしている方が多い。お客様の意識として健康志向がますます強くなり、免疫力を高めることへの関心も一層、大きくなりました。
その影響もあり、当社が出しているプラズマ乳酸菌を活用した商品シリーズ「iMUSE」は、春先から売り上げが急伸しています。8月には、プラズマ乳酸菌を使用した商品が免疫機能で初の機能性表示食品として届出を受理されました。また、6月に発売した「キリンレモン スパークリング 無糖」も発売2か月半で目標の6割突破と好調です。
──健康分野を大きな軸にしていくということですね。
堀口:当社が考える「健康」には3つの大きな軸があります。1つは「iMUSE」やサプリメントウォーターに代表される、体にいい成分を含んだ「プラスの健康」。そして果物ジュースの「トロピカーナ」シリーズなどの「ナチュラルな健康」。さらに、砂糖やカフェインなどを「摂り過ぎない健康」です。
近年はこの「摂り過ぎない健康」に特に力を入れている。先ほどお話しした「キリンレモン」の無糖もそうですし、「生茶デカフェ」というカフェインレス商品も好調です。