──キリンビバレッジといえば「午後の紅茶」という大きな柱がある。昨年実績で5540万ケース、他社の紅茶製品と比べても圧倒的な販売量です。
堀口:1986年の発売以来、幅広い年齢の方からご支持を頂いており、昨年は最高販売実績を更新しています。
紅茶製品は缶やペットボトルなどのパッケージ商品にして冷やすと、濁りが出る課題がありました。しかし我々は当時からそれを乗り越える技術力を持っており、冷やしても濁らないストレートティーを開発しました。
最近は他社も紅茶商品を積極的に投入していますが、紅茶市場全体が活性化されることはウエルカムですね。
「午後の紅茶」シリーズでは有糖のミルクティーが一番人気。有糖のストレート、ミルク、レモンがシリーズ全体の約7割を占めています。小学生から高校生まで若い世代を中心に幅広い世代から支持されています。
これに加え、糖分を控えたいお客様向けに「無糖」「微糖」の商品を拡充していきます。
新商品の「午後の紅茶 ザ・マイスターズ ミルクティー」や「午後の紅茶 ザ・マイスターズ オレンジティー」は「微糖」のカテゴリー。先ほどお話しした“摂り過ぎない健康”に対応した商品です。
──「生茶」も今年発売20周年ですね。
堀口:「午後の紅茶」と「生茶」は、当社にとって両輪となる基幹商品であり財産です。社内では“アンブレラ・ブランド戦略”と呼んでいますが、両ブランドを軸に健康ジャンルを拡大する戦略でコロナ時代を戦っていきたいと考えています。
【PROFILE】ほりぐち・ひでき/1962年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、1985年キリンビール入社。2009年フォアローゼズディスティラリー代表取締役社長、2013年小岩井乳業常務取締役、2014年小岩井乳業代表取締役社長を経て2016年から現職。
●聞き手/河野圭祐(ジャーナリスト): 1963年、静岡県生まれ。経済誌編集長を経て、2018年4月よりフリーとして活動。流通、食品、ホテル、不動産など幅広く取材。
※週刊ポスト2020年9月11日号