日本では1999年以降に診療ガイドラインの策定が進められてきた。心付けを渡しても診療自体は変わらないとのことだ。心付けの授受には法制上、税制上の問題もある。
まず、金額の多寡に関係なく、国公立病院に勤務する医師は「収賄罪」(5年以下の懲役など)に問われる可能性がある。渡した患者側も理論上は「贈賄罪」(3年以下の懲役など)に問われるリスクがあるわけだ。また、私立病院勤務の医師は、病院の規程違反で懲戒処分の対象になり得る。
医師が受け取った心付けを税務申告してない場合、金額次第では脱税に問われる可能性もある。そうした問題点も知った上で、考える必要がある。前出の山本氏が言う。
「心付けに使うお金があるなら、それを患者さんにとって大事な別のことに使ってほしいです。経済的に余裕があり、どうしても感謝の気持ちを示したいというのなら、病院へ寄付を考えてみては」
※週刊ポスト2020年10月1日号増刊『週刊ポストGOLD 得する医療費』より