「宿泊・飲食業」の場合は、年収のピークが40代前半と早い。同じく従業員1000人以上の大企業の場合の年代別平均年収は、20~24才以下で299.4万円、30~34才以下で387万円となり、40~44才以下で482.5万円とピークを付ける。50~54才以下で459.8万円と下がり始め、60~64才以下では329.3万円と30代の時の年収より低くなってしまう。
一般的に給料が高いとされる「金融・保険業」は、50代後半から年収が急減する。従業員数1000人以上の大企業で見ると、平均年収がピークを付けるのは50~54才以下の824.9万円で製造業と大差はないが、55~59才以下では664.9万円と150万円以上激減し、60~64才以下になると454.2万円になる。
このように、雇用延長、再雇用して稼げるお金は思っているよりも少ないうえ、業種によって年収のピークも大きく異なり、40代から年収が減少し始める人もいる。子育てがひと段落した頃にマイホームを購入し、子供が独立する定年前から貯蓄に励んで……というこれまでの“常識”とされる人生計画を想定していると、老後に立ち行かなくなるのは明白だ。
特に、年収のピークが早い宿泊・飲食業や、年収がピーク時から一気に激減する金融・保険業などは、かなり計画的に老後を意識した資産づくりに励まなければならない。これらはあくまでも平均値だが、自分の収入が年齢に伴いどう変化していくのかを把握することで、ライフプランを立てる際の参考になるはずだ。
【プロフィール】すずき・まさみつ/金融ジャーナリスト。岡三証券、公社債新聞社の記者などを経て独立し、有限会社JOYntを設立。投資信託や資産運用を中心に雑誌やオンラインメディアに寄稿する他、出版プロデューサー兼ライターとして230冊以上の単行本の企画・制作を手掛ける。