中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

今はなき昭和末期の生活様式 男児は冬でも半ズボン、新聞・雑誌は網棚に…

 ……こうした件については当時の「生活様式」であり、いわば「常識」の面もあったのでしょう。どう考えても今の時代では受け入れられないヘンテコリンなものばかりです。そう考えると、かなりの部分が“洗練”されてきているのではないでしょうか。

 今回のマスク拒否男性に対しては、損害賠償請求もあり得ると報じられています。男性の主張は理解できます。そして私も「マスクなんてバカらしい」という彼の気持ちは理解できます。ただ、サービスの提供側が求めたのであれば、そこは従いましょうよ。多分、もうすぐ「感染者がこんなに少ないのにマスクつけるなんてバカらしい」といった空気感になり、政治家等の権威が「マスク不要」を言い出すことでしょう。いや、早くそうなってほしいですね。

 あと、生活様式とは関係ないものの「プロ野球の試合はガラガラだった」というのも印象に残っています。特にすごかったのが川崎球場のロッテオリオンズ戦です。1000人いないんじゃないの? といった状態で、私が小学生の時に行ったら子供達には明らかに500円はするであろう「ザ・ドリフターズ西遊記人形」というものの詰め合わせをもらいました。志村けんさんが孫悟空で、当然高木ブーが猪八戒という人形セットです。そのぐらいプロ野球(特にパ・リーグ)は集客に苦労していたのです。

 時代は着実に常に変わり続けていますね。いい方向に変わってもらいたいものです。

◆中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう): 1973年生まれ。ライター。一橋大学卒業後、博報堂入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は『恥ずかしい人たち』(新潮新書)。

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