つまり、あなたの過失により発生した損害です。あなたとしては、ペット禁止と言われればこのマンションを買わなかった。買わなければフェレットは逃げなかったから網戸をボロボロにすることはなかった。従って、網戸の修理代という損害は、不動産業者の説明義務違反の結果だと言いたいところでしょう。
しかし、これは風が吹けば桶屋が儲かるという類の理屈で認められることはありません。あなたのフェレット管理の失敗により、不動産業者の説明義務とフェレットのいたずらとの間の因果関係は中断していると解されるのです。
そもそも、不動産業者が賠償責任を負う損害は、説明義務を怠ったことにより通常発生する損害です。飼い主の管理がずさんでペットが逃げ出したことによる損害まで予見することはできません。
しかし、ペット禁止のマンションで生活するあなたも苦しい立場になります。不動産業者の説明義務違反が原因ですから、業者に対し慰謝料の請求ができると考えられます。誠意がないときは国民生活センターに相談してください。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2020年10月8日号