中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

テレビの「混んでます!」報道が社会の分断を加速させている

4連休中の観光地では大勢の人出で賑わった(東京・浅草。AFP=時事)

4連休中の観光地では大勢の人出で賑わった(東京・浅草。AFP=時事)

 9月19~22日の4連休、多くの人々が各地の観光地を訪れ、大混雑となった。テレビ番組はしきりと「混んでます!」報道を繰り返したが、この報道のあり方にネットニュース編集者の中川淳一郎氏は違和感を覚えるという。その真意について中川氏が解説する。

 * * *
 この4連休、高速道路で47kmの渋滞が発生したり、スーパー銭湯は2時間待ちだったり、キャンプ場には1000張のテントが張られてトイレは1時間待ちの行列、といった「混んでます!」報道をよく見かけました。

 普段の私は「こんな混んでいる時に遊びに行くなんて、何を考えているんだろう?」と鼻で笑うところですが、今回ばかりはまったくそう思いませんでした。テレビに取材される観光客が気の毒になってしまったのです。

 番組制作サイドの意識としては「コロナ禍なのになぜ遊びに来ているのか?」ということを聞きたいわけです。そして「気の弛んだ国民がこんなに羽目を外して遊びまわってます! 緊張感が足りない!」といった感覚を視聴者に抱かせたいという意図もあるのでは。

 何しろ、取材される人は、決まって同じようなことを口にします。それは、慎重に行動していること、他人に迷惑をかけなにようにしていること、そして若干の言い訳めいたことです。恐らく質問は「なぜ、今回はここに来たのですか?」と「感染対策は大丈夫ですか?」の2つでしょう。以下のようなコメントが定番です。

「マスクは予備も含めてたくさん持ってきていますし、除菌スプレーも用意しています」
「ゴールデンウィークも夏休みも子供たちを連れて来られなかったので……」
「アウトドアだったら『密』にならないと思いまして……」

 以前見た報道ではこんなのもありました。インドネシア人の妻の母親を登山に連れてきた男性の発言です。

「義母を山に連れてきたかったのですが春は連れて来られず、緊急事態宣言も解除されたので……」

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。