「ヘリコプターマネー」(通称「ヘリマネ」)という言葉を目にする機会が増えている。簡単に言うと、政府と中央銀行が国民にお金を配るという金融・財政政策のことである。そのやり方が、あたかもヘリコプターから現金をばらまくがごとく直接的である、ということでこの名称がついている。
なぜ最近、この「ヘリマネ」政策が話題となっているのかというと、ベン・バーナンキ前米連邦準備理事会(FRB)議長が来日し、7月11日に黒田東彦日銀総裁と、12日に安倍晋三首相とそれぞれ意見交換をしたと報道されたからだ。
バーナンキ前議長は、「ヘリコプター・ベン」という異名があるように、ヘリマネに積極的なことで知られている。そこで、アベノミクスが手詰まりとなっている政府・日銀にヘリマネをアドバイスし、政府・日銀はその実施に前向きになった、という憶測が金融市場に広がっているのだ。
ヘリマネにはさまざまな定義があるが、新聞報道ベースでは、「政府の発行する無利子および無期限の国債を中央銀行に無制限に買い取らせ、政府が財政資金を確保すること」とされている。これを実施すると、国債の増発に歯止めがかからなくなり、財政規律が失われることで中央銀行の信認が失墜。その結果、円、国債の暴落につながる可能性もある。そうした理由から長らく“禁じ手”の政策とされてきた。「日銀の国債引き受け」あるいは「財政ファイナンス」と、大体同じ内容と考えていいだろう。