身内が亡くなれば、悲しみの先には「お金」の心配も生じる。夫が早くに亡くなった場合に、一定の条件を満たせば遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方が受け取れるケースがある。
たとえば年金を25年以上払い済みの現役世代の会社員の夫が亡くなり、専業主婦の妻が45歳、16歳の子がひとりといったケースだ(別掲図2参照)。
子が18歳になるまで支給されるのは、「遺族基礎年金(約78万円)」に「子の加算(約22万5000円)」+「遺族厚生年金(約45万円)」の合計で年約145万5000円になる。子が18歳を超えると遺族基礎年金や子の加算は打ち切られるが、そのあとはどうなるのか。ファイナンシャルプランナーの伊達寿和氏が解説する。
「妻が40歳以上なら、65歳で老齢年金をもらう年齢になるまで、手続き不要で妻に年額約58万5000円の中高齢寡婦加算が付加されます」
また、現役の夫が就業中に亡くなったら遺族補償年金が支給される。社会保険労務士の星川秀幸氏が指摘する。
「こちらは労災保険に基づく制度です。遺族の人数によって金額が変わり、遺族ひとりだと故人が生前にもらっていた日給の153日分が支給されます。
申請期限は死亡後5年以内で、夫が働いていた会社が手続きをしますが、“何もやってくれない”という相談もよく受けます。その場合は労働基準監督署に問い合わせるのも手です」
※週刊ポスト2020年10月9日号