コロナ禍で動画視聴時間が増えている。ニールセンデジタルの調査によれば、コロナ以前(1~2月)と比べると3~4月は全体で動画視聴時間は59分増加した。なかでも若年層(18~34歳)は2時間44分増加となっている。それから半年が経ち、現在は少し落ち着いているかもしれないが、生活の中で動画の存在感が増していることは間違いないだろう。
若者たちの中には、情報を得る際にも文章より動画で見たほうが理解しやすい、と感じる人が増えているようだが、その一方で、動画を最後まで見るのが苦手だったり、文章や写真で理解した方が早いと感じたりする人もいる。動画全盛時代にもかかわらず、動画を敬遠したがる人たちの声を聞いてみた。
動画だと自分の欲しい情報の「場所」がわかりづらい
30代の男性会社員・Aさんは、動画よりも文章の方がわかりやすいと断言する一人だ。動画偏重ともいえる傾向に違和感を隠さない。
「例えば、ゲーム攻略動画。Wikiなど攻略サイトが微妙な場合、動画に頼らざるを得ないですが、自分が知りたい情報までシークバーで飛ばすことが多いです。テキストだとザッと全体を読んで、それから自分の知りたい情報に飛んで、パッと読み理解できるのですが、動画だと情報がどこにあるのか俯瞰できない。ゲーム配信動画も、最後まで見ているのはきついです」(Aさん)
Aさんは、大学受験の際は予備校に通わずに独学で合格。大学時代も講義そっちのけで読書。基本的には参考書ベースで試験を乗り切ってきたという。「文字を追うのはまったく苦にならないのですが、何かを視聴し続けることが苦手なのではないか」と自己分析する。
レシピ動画には自分に不必要な情報も多い?
料理を作る時に「動画を参考にするのは苦手」というのは40代の女性・Bさんだ。知識量も影響しているのではないかという。
「料理経験が浅い人ならレシピ動画は有効だと思いますが、ある程度基本がある場合、早送りしたくなります。それよりもレシピサイトや雑誌の方が分かりやすく、余計な時間を奪われずに済む。必要な情報をピンポイントで得られればいいという人には、動画は向かない気がします。オープニングや前フリみたいな情報も、素材を切っているシーンもいらない。ただ、ウラ技とか、これくらいの焼き・煮加減みたいな情報は動画のほうがわかりやすい時もあります。基本的には文章派で、動画はあったら便利、というくらいです」