法令違反により金銭を納める「罰金」という言葉はよく知られているが、同じく「科料」という言葉も存在する。この2つは、何がどう違うのか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
先日、商店街を歩いていたとき、電信柱に「路上で喫煙すると2000円の科料に処せられます」との張り紙を見かけました。いつも疑問に思っているのですが、この「科料」と、いわゆる「罰金」の違いは何ですか。また、科料に処せられても、自分が悪くないことを証明できれば、その科料を取り戻せますか。
【回答】
罰金も科料も、死刑や懲役などと並んで刑法が定める刑です。罰金の下限は1万円以上であるのに対し、科料は1000円以上1万円未満で、罰金よりも軽い刑となります。
なお、罰金が50万円以上と高額の場合は、執行猶予が認められることもありますが、科料は金額も少なく、執行猶予はありません。
刑法犯では比較的重大ではなく、犯情が軽い場合がある犯罪には、罰金と科料が選択刑として定められています。罰金も科料も刑罰の一つです。納め終わってから5年間、間違いを犯さず経過すると、刑の効力が消滅します。
罰金などを言い渡した判決や略式命令が確定すると、再審手続きで取り消されない限り、返金されません。再審が認められる可能性は極めて低く、取り戻しは不可能です。また、支払わないと、罰金では2年以下、科料では30日以下の期間、労役場に留置されます。