──その後、広島支店長、大阪支店長を歴任した後、取締役ガーデニング戦略本部長に。そこでガーデニング事業を軌道に乗せた手腕が評価され、42歳で社長に大抜擢されます。トップとして取り組んだことは?
川端:消費者の声を徹底して商品に反映させることですね。3年前には、それまでの「殺虫剤」という表現を「虫ケア用品」に変更しました。
消費者の意識は従来とどんどん変わってきていて、殺虫剤の「殺」という字に嫌悪感を覚える方が、様々な調査で全体の5%ぐらいおられることがわかったんです。
その5%を取るに足らない小さな数字と見るか、看過できない数字と見るか―私は後者でした。95%の方は殺虫剤を虫ケア用品に変えても気にしないでしょう。しかし、5%の方は呼称を変えれば買ってくださる可能性が高くなる。だったら変えない理由はないと考えました。
他にも、過去に「ゴキブリ用」や「ダニ用」として販売していた商品を「キッチン用」「子供部屋用」に変えました。そうやってお客様へのアプローチを変えると、商品の中身は一緒でも売れ方が変わってくる。
これまで埋もれていた商品でも、切り口を変えるだけで売れ始める商品がかなりあるんです。
──最近の成功事例は?
川端:たとえば「アースノーマット」。殺虫だけでなく「蚊の侵入も防止する」と商品特性の打ち出し方を変えたんです。アースノーマットをつけておけば、蚊を殺すだけでなく、そもそも家に蚊が入ってこないということでヒットしました。
海外にも積極展開
──コロナ禍が追い風になっていると聞く。
川端:在宅比率が高くなったことで、皆さんが害虫を目にする機会が増えた。それが追い風になった面はあります。
ただ、意外に思われる方が多いのですが、猛暑は我々にとって逆風なんです。あまりに暑い夏が続くと蚊との接触機会は逆に減るんです。