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失業給付 退職日が1日違うだけで70万円もの差が出ることも

退職日たった1日の違いでどうして?(イメージ)

退職日たった1日の違いでどうして?(イメージ)

 かつては「60歳定年」を迎えた時がサラリーマンのリタイア年齢だったが、2013年の高年齢者雇用安定法改正で65歳まで雇用延長され、来年には70歳へと5歳刻みで引き上げられている。社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの北山茂治氏は言う。

「老後資金の問題があるから会社で設定された雇用延長ギリギリの年齢まで働きたい、という人が多いですが、リタイア生活を楽しむために残された時間がなくなる。60歳を超えたら、老後の資金計画、リタイア後のライフスタイル、そして限られた体力という3つを総合して仕事の辞めどきを考える必要があります。日本人男性の健康寿命は72歳ですから、70歳まで働いたら元気なのはあと2年しかない、ということもあり得る。

 ならばせめて健康寿命の5年前、つまり67歳ぐらいには完全リタイアして元気なうちに生活を楽しむという選択もあっていいのではないでしょうか」

 もう少し長く老後生活を楽しみたいという人には、65歳を待たずにリタイアという選択肢もある。ここで知っておきたいのが「雇用保険の基本手当(失業給付)」の仕組みである。

「失業給付が支給されるのは、退職時の年齢が65歳未満という制限がある。65歳以降に失業した場合は代わりに『高年齢求職者給付金』という一時金がもらえますが、支給総額に大きな差がある。

 たとえば20年以上会社に勤めた人が65歳になる前(誕生日の前々日まで)に退職した場合、最長150日分の失業給付が出ますが、65歳で退職すると、失業給付の50日分の高年齢求職者給付金しかもらえない。金額は3分の1になってしまう。わずか1日退職日が違うだけで、失業給付の額が上限の人であれば約70万円も差が出るということです。

 就業規則で『65歳の誕生日が退職日』となっている会社の場合、その前に辞めると退職金が減る可能性もありますが、65歳定年の会社はまだ少ない。雇用延長の65歳になる前に辞めたほうが得するケースがあることは、知っておいて損はありません」(北山氏)

 こうした制度を理解した上で、残されたお金、時間、体力を考慮して自分に合ったリタイアのタイミングを見つけたい。

※週刊ポスト2020年11月6・13日号

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