トマトケチャップやトマトジュースで知られるカゴメ。健康意識の高まりを追い風に好調を維持している。5年後の2025年を目標にトマトから野菜の会社への脱皮を掲げる同社の山口聡社長(59)に訊いた。
──このシリーズではまず、平成元年(1989年)当時について伺っています。
山口:私は1983年にカゴメに入社しました。最初の勤務地は茨城工場で、5年ほど生産や品質管理の仕事を担当しておりました。
それから異動し、平成元年には栃木県の那須にある総合研究所で調味料や調理食品の開発に携わっていました。
会社人生の中でも印象に残っているのが、業務用商品の開発を担当していた1998年ごろから海外の野菜産地に視察に出かけ、ポルトガルやイタリア、トルコ、アメリカのカリフォルニアなどで現地の人たちと交流を深めたことです。
特にイタリア・カラブリア州産の赤ピーマンやズッキーニなどが入ったグリル野菜ミックスは業務用冷凍食品としてロングセラーになりました。思い入れ深い仕事の1つです。
伸び続ける「90年ブランド」
──コロナ禍の巣ごもり需要で主力商品が堅調です。
山口:ご家庭での食事の機会が増えたこともあり、トマトケチャップが好調ですね。
また、免疫力を高めたいという意識の高まりから、発酵食品や乳製品、緑黄色野菜などの需要が増えています。当社は野菜果実飲料で50%超の市場シェアがありますが、その代表商品「野菜生活100」は、手軽に緑黄色野菜を摂取することができます。こちらもさらに伸びると期待しています。