さまざまなモノや習慣を手放してきたおひとりさまの先達たちも、それぞれに「やめられない」ものがある。東大名誉教授で社会学者の上野千鶴子さんが話す。
「私がやめられないのは、パソコンです。世界中どこに行くときでも持ち歩いているので、仕事やしがらみからは逃れられませんが、その一方で、遠くの人ともつながっていられるし、新聞も画面でどこでも見ることができる。手放したくても手放せません」(上野さん)
同居していた母親を5年前に見送り、子供は独立したという料理研究家の谷島せい子さんは「新しい服を買うのはやめられない」と笑う。
「私はいまも服はけっこう買ってます。例えば赤いセーターを買って気分が明るくなるんなら、これまでご飯代や酒代に使っていたお金を、服代に回せばいい。この年でエルメスのバーキンを買うのはさすがに“費用対効果”が悪いけれど、セーターくらいはいいんじゃないかって思うんです(笑い)」(谷島さん)
上野さんは「手放せない」パソコンで精力的に執筆活動を行い、谷島さんのコーディネートはファッションムックでも紹介されている。2人とも、「やめられないこと」で大きな花を咲かせている。
※女性セブン2020年11月5・12日号