「色々な先生が講義の資料や文献をPDFでアップするんですが、スマホで拡大して読むのが辛いです。印刷しろと言う人もいますが、スマホから印刷する方法がわからないし、大学まで来て印刷するのも、コンビニで印刷するのもどちらもお金がかかるんです。先生たちに言うのは気が引けますが、できればスマホで受講している学生がいることを前提に講義資料を作って欲しいというのが本音です」
Aさんの発言を踏まえれば、コロナ禍で苦労する貧困学生たちの悩みが、対面講義の再開によってすべて解決するものではないことがわかる。オンライン講義導入によって浮上したのは、学生間のITリテラシーの格差だけではなく、その根底に横たわる「相対的貧困」が学生生活に大きな影響を及ぼしている側面だ。大学運営側もこうした現状を把握したうえで、対策を講じる必要があるだろう。