「ミニマリストになれ、とは言わないが、モノは持たないに限る……」――しみじみと感じたのは10月31日に東京から佐賀県唐津市に移住したネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。いかに「モノ」が人生にとって負担になるか、今回の引っ越しで感じたことを中川氏が報告する。
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実家を出てから21年、自分はそれほどモノを持っていないと思っていました。家人も同様です。しかし、まったくそんなことはなかったです。私の部屋は72平方メートルの3LDKだったのですが、引っ越しも余裕かな、と思っていました。
しかし甘かった……。10月31日の引っ越し日に向け、2週間前の17日頃からゴミを捨てたり、粗大ゴミの回収などの手続きをし始めました。これだけの期間があれば余裕だろうと思っていましたが、21年の間に溜めたモノの処理はとんでもなく大変だったのです。これまでの引っ越しは近所→近所ばかりだったので、そこまで多く捨てることはありませんでした。
しかし、今回は東京→佐賀という長距離のため、もう15年も使った冷蔵庫やら19年使ったコタツなんかは全部捨てることにしました。持って行くものは、服、本150冊(元々3000冊あった)、調理器具、食器、ゲーム機などです。佐賀では家電のサブスクリプション(定額制)サービスを利用し、所有物は極力減らします。
写真を見れば分かるのですが、私の仕事部屋はとにかく床に大量のモノが散乱していました。これらのゴミ、そして結局何年も触らなかったものをすべて燃えるゴミ・燃えないゴミに分けました。たかだか5.1畳の広さの部屋ですが、45リットルのビニール袋30枚分のゴミになりました。
他の部屋も同じような状況で、まずはゴミ捨てが大変でした。続いては大物に移りますが、自治体に粗大ゴミを回収するよう依頼したところ、これが意外と使い勝手が悪い。回収に来るのが1週間後の指定された日で、コンビニでシールを買わなくてはいけない。扇風機など計10個の粗大ゴミで6000円かかりました。残りの不用品の量を考えると、これはもう自治体の粗大ゴミ回収では手に負えないことが分かりました。物理的にもそうですし、金額的にもそう。さらには、巨大な本棚も3つあり、それを私と家人で指定の収集場所まで持って行くのはかなり困難でした。