葬儀といえば、お布施や戒名料など、とにかくお金がかかるのが慣例だった。だが近年、葬儀は多様化し、急速に簡素化が進んでいる。さらに新型コロナウイルスの影響で、30人程度の小規模葬儀が主流になりつつあり、葬儀業者を通さない家族だけの“手作り葬”を行う人も増えているという。
手作り葬なら費用を抑えられる上に、故人の思いにも寄り添える。たしかにメリットも多いが、業者に頼まないとなるとさまざまなハードルがある。10月に父を亡くした近藤千春さん(仮名・63才)も、「遺体の搬送の仕方や火葬場の予約など、知らないことだらけで、本当に大変でした」と、苦労を打ち明ける。
実際どうすればいいのか。ここからは、順を追って説明していく。必要なものは前もって購入しておくことが重要だ。棺や骨壺などを『DIY葬セット』として2万8380円(税込)で販売しているつばさ公益社の代表・篠原憲文さんが語る。
「死後に時間的なゆとりはありません。必ず必要になる棺、骨壺、骨箱はもちろん、ご遺体を搬送するときにあると便利なシーツなども、余裕を持って準備しておくことをおすすめします」
臨終時には医師が「死亡診断書」を発行する。死亡診断書には、死亡を自治体に届け出る「死亡届」もついている。死亡診断書は医師が書き、死亡届は届け出る人が記入するのが決まりだ。
病院で亡くなると、通常は1~2時間ほどで医師が死亡診断書を発行、介護施設で亡くなった場合は嘱託の医師や提携医療機関の医師が書いてくれる。亡くなった後は、遺体の搬送が待っている。
「病院や介護施設では、搬送の手配ができるまで霊安室に安置してくれますが、すみやかにご遺体を移動するのが基本です。自分の車で自宅に搬送する場合、ご遺体を霊安室から車、車から自宅に移動させるのはなかなか大変な仕事です。7000円ほどで購入できる担架があればラクですが、ない場合は大きなシーツを使用するといいでしょう。ご遺体をシーツに乗せて、頭側の両端を1人が、足元の両端をもう1人が持ち上げると運びやすいです」(前出・篠原さん)